30キロを過ぎてもまだ歩いている。
「痛みをこらえてでも走ろう」という強い気持ちが湧いてこない。

第５給水所に到着。

走らなくても水分補給。
フルーツととんがりコーンも補給。
残り時間が心配なので早々に出発。



冬の日差しを浴びて銀杏黄葉がきらきら輝いている。




陽光が暖かい。風も凪いでいる。

ぽかぽかしてなんだか眠くなってきた。
ときどき目を閉じてみる。そのまま眠りに落ちそうな気がしてきた。



眠気をこらえ32キロ。
このあたりで着ぐるみのドラえもんに励まされ、抜き去られた。

このまま歩き続けてはゴールが危うい。
走らなくてはと思うのだがなかなかできない。



ガードをくぐり、国道１号線の南側に向かう。




33キロ付近の私設エイド。

絶妙のポイントで毎年ランナーを迎えてくれる。


今年のスペシャルドリンクは暖かなお汁粉だった。

甘くておいしい。元気が出る。
元気は出るが痛みは緩和されない。やはり長い距離を走れない。



34キロ。時間はあるのか。




35キロ手前の第７給水所で
法多山の厄除け団子をいただく。
あまりに遅かったのでもう品切れかと思っていたが
残り三人分というところでありつけた。



厄除け団子のご利益にすがりながら35キロ。

なんてことだ。
ここまでの５キロに50分も費やした。



第５関門、35.16km。
閉鎖時間の２分前。

切羽詰まった状況にやっと気がつく。
このままではまずい。



東海道線に沿った長く平坦な道。


レース前に描いたイメージでは
このあたりから気持ちよくペースを上げるはずだった。
実際はペースアップどころか歩いてしまっている。




「まだまわりにランナーがいるから大丈夫」
なにがなんでもゴールという意思が薄れ始め
甘える気持ちがだんだん大きくなってくる。


「次の給水所でリタイアしよう」という思いが芽生える。
給水所直前まではそういう気持ちだった。



*****　つづく　*****

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